
昔、薬剤師の仕事をしていた私は、かつて一緒に仕事をしたことがあり、現在某薬局経営の副社長的な存在の友人に話をしたことがあります。
顧客(患者)満足度を高めるためにコミュニケーション研修とかやってみない?と。
しかし、
「ダメダメ。薬剤師は自分のことしか考えてないの。
会社への帰属意識が低いから、
顧客満足度を上げて会社に貢献しようなんて思わないわよ」
と。
確かに・・・
薬剤師は「一人親方」みたいなもんだから、その薬局が嫌だったら、辞めて次へ行けば働けるし・・と、あくまでも「自分」だものね。
そう理解した私でした。
それから数年。
ある社会心理学の准教授のセミナーを聞いて、この薬剤師の「一人親方」ぶりはこういうことなのか!と理解できたのでご紹介しようと思います。
聞きに行ったセミナーは「専門職のマネジメント」。
しかも事例として、調剤薬局の薬剤師についてお話されると言うことで、興味を持ったわけなんですが。
ここで聞いたところによると、専門職と言われる人には「役割コンフリクト」と言うものが現れるそうです。
この「役割コンフリクト」とは何かというと、個人が果たす複数の役割に関して生じる葛藤のことで、例えば校長と言う立場の方は、教員組織(職員会議)の一員であるとともに、経営組織(理事会)の一員でもあるために、両組織の要求が矛盾・対立する場合に役割葛藤に陥る、と。
なるほど。
薬剤師の場合で考えると、薬剤のプロフェッショナルの役割と、組織(薬局)の一員と言う役割を担うことになり、これが葛藤を起こす元となるわけです。
で、普通の組織人だと、個人の貢献に関して組織(仕事)が報酬(金銭等の外発的モチベーションであったり、やりがい等の内発的モチベーションであったり)を与えるというところで需要供給が成り立っています。
しかし、専門職に関しては、その単純なやりとりではないということ。
と言うのも、専門職は‘組織’と‘仕事’を分けて考えている、と。
内発的モチベーションは、仕事をやり遂げるという方に向かい、こちらで得ます。
外発的モチベーションは、組織に貢献するという形で得ます。
実は外発的モチベーションは内発的モチベーションより低い(と一般的には言われている)ので、組織に最大限貢献ことはなく、仕事そのものの方に、より貢献するというのです。
これ、本当によくわかります。
何のために仕事をするのかと言うと、組織のためと言うよりは、自分の専門職としてのレベルアップであると私が薬剤師の仕事をしていた時もそうだったし、たぶんほとんどの薬剤師もそう思っているはずです。
そうであるならば、組織としてはどうマネジメントをしていったらいいのでしょう?
そこが一番知りたかったところなのですが、結局時間切れで、詳しい話が聞けなかったのが残念でした。
しかし、今回このセミナーを聞いて、私なりに専門職のマネジメントを考えるとするならば、こんな薬剤師でも組織コミットメント(組織への帰属意識)が高まっていると、仕事より組織に対して重要な貢献をするということが言えるようなので、専門職が持っている自分の仕事に対するこだわりを理解した上で、「この組織にいたい!」と思わせるような魅力が組織側にあるといいのでは?と。
専門職を雇用している方、周りに専門職がいらっしゃる職場の方、今回のこのブログが何かヒントになったのなら幸いです。。。